従業員が退職後に未払いの残業代があるとして請求してくるケースが増えている。国民の権利意識の高まりもあるが、法律家がハローワークの前で若者をつかまえて、請求させて上前をはねているという事例もないではない。ただ前提として、未払いの残業代はれっきとした債務だ。タイムカードのコピーや残業時間のメモなど証拠となるものがあれば、争いになっても会社側はまず勝てない。
残業代は、仮に時給2千円で毎日1時間ずつだとすれば、月に22日で4万4千円。未払賃金の時効はかつては2年だったが、2020年4月以降は3年に延長されたため、その全日が対象なら158万4千円となる。これが1日3時間で10人いれば4752万円となり、それ以上は試算するのも恐ろしい。残業代に関しては極めてナーバスにならなくてはならない時代となっている。
さらに恐いのは、罰則のある未払い代だ。労働基準法では、①解雇予告手当、②休業手当、③割増賃金、④有給休暇取得時の賃金――の支払いを会社がしなかった場合、労働者の請求により裁判所は未払金と同額の支払いを命じることができる。つまり元本とあわせて倍の支払いだ。この罰則部分を「付加金」という。実務では、労働者が訴えれば必ず付加金の支払命令が出されるわけではなく、「悪質」と判断されたものに限られるようだ。だが「名ばかり管理職」の問題で争われた2008年判決の「日本マクドナルド事件」などでは、この付加金の支払いが命じられており、あながち稀ともいえないため、細心の注意は必要だ。
現在、未払賃金に関する請求期間は3年間だが、これは経過措置であり、時期は未定であるものの将来的に5年まで延長されることも決まっている。
未払いの賃金について













