従業員と役員の法律上の違い

従業員と役員の法律上の違い
従業員と役員は、法的な位置付けが根本から異なる。従業員は「雇用契約」を締結するが、役員は会社から業務を任される「委任契約」の関係だ。詳しくみると、雇用契約は労働の対価として当然に給与が発生する「有償双務契約」である一方、委任契約は法律上、本来は「無償」が原則だ。役員報酬を支払う際に、定款の定めや株主総会での決議といった特別な手続きを経るのはそのためだ。

また、従業員は労働基準法などにより手厚く保護されるが、役員には原則として法的保護がない。それどころか、高度な「善管注意義務」を課され、経営上の不備があれば個人としての重い損害賠償責任を負うことすらある。万一、会社が倒産した際も、従業員の賃金は優先的に弁済されるが、役員報酬は後回しにされるなど、そのリスクの差は大きい。

これほど異なる存在でありながら、日本では従業員のキャリアの延長線上に役員を捉えがちだが、本来、経営を担う役員への登用は、労働者としての立場を離れ、会社の命運を背負う別次元の役割を担うことを意味する。経営者はこの違いを明確に理解しておくべきだろう。