先日、体長1ミリの線虫を使ったがん検査の開発に取り組む九州大発のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」が尿1滴でがんの有無を8割以上の高確率で判定できる安価な検査法「N-NOSE(エヌノーズ)」を来年1月から実用化すると発表しました。(検査費用は1回9800円)
日本にも浸透しつつあるがん検査ですが、諸外国に比べてがん検査の受診率は30~40%とまだまだ低いです。受診率が低い理由として主に「受ける時間がないから」「健康状態に自信があり必要性を感じないから」「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」という結果で出ています。(平成28年11月がん対策に関する世論調査より)
会社にとって従業員の健康は不可欠です。また会社には従業員の健康診断を実施する義務があります。
これは正規雇用されている正社員全員が対象となっていますが、パートや契約社員などの非正規雇用の従業員であってもある一定の条件を満たせば健康診断の対象になります。
また、健康診断の費用の負担は会社が全部持つべきなのかという疑問が浮かびます。健康診断の会社負担について法律の規定は設けられていません。しかし「法律上義務付けられている健康診断の費用はできれば会社が負担するべき」とされています。
それでは、がん検査、アレルギー検査、胃カメラなど付加検診はどこまで会社負担にすべきでしょうか?
注意点としては、「役員の特定の地位にある人だけを対象として費用を負担するような場合には課税の問題が生じますが、役員又は使用人の健康管理の必要から、雇用主に対し、一般的に実施されている人間ドッグ程度の健康診断が義務付けられていることなどから、一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ検診を受けた者のすべてを対象としてその費用を負担する場合には、給与等として課税する必要はありません。(国税庁HPより)」とされています。
人間ドックなど一日がかりの検診の場合、費用が数万円と高額になる場合もあります。従業員の付加検診を含む健康診断の費用を会社の経費とするためにも、税務上の観点から本人の給与と判断されることのないようにすることが必要です。そこで従業員全員を対象とし、費用負担額や検診の範囲の規定を作っておくのが望ましいでしょう。
付加健診が会社負担になることによって、従業員が付加検診を受け易くなり、健康維持への関心が高まることは必至です。生き生きとした職場環境を整えることは会社の成長につながるメリットになるといえます。