介護をしてくれた人に確実に財産を残したい・死因贈与とは

板東税理士事務所_ブログ20191007
日頃寄り沿って介護をしてくれている人達に財産を確実に残したい。そんな思いを抱く日がくるかもしれません。財産を残す側も相手が最後まで介護をしてくれる保証はなくとても曖昧なものです。また親族は、果たして遺言の通りに財産を受け取ることができるのだろうかと不安を抱くかもしれません。遺言は何度も書き換えが可能であり、封を切るまでは自分の苦労に見合う財産をもらえるかどうかは分かりません。そんな双方の不安を取り除く方法として死因贈与があります。

まず、遺贈と死因贈与の違いを整理しておきましょう。遺贈とは民法で定める遺言方式によって贈与することができる法律行為であり、受遺者の同意を必要としません。一方死因贈与とは贈与者の「もし私が死んだら、あなたに財産をあげます」という言葉により「それでは、いただきます」といった具合に受贈者が受諾することで成立する法律です。

死因贈与とは、双方の合意に基づき一方が死亡したら贈与が行われる契約を結ぶというものです。死因贈与では一定の決まり事を履行した時に贈与が成立するという取り決めが可能なので「最後まで介護をしてくれた場合に贈与する」といった条件を契約に盛り込むことで介護をする人は確実に財産を受け取れることになるのです。

最後に注意点として、死因贈与の契約を結ぶと特段の事情がない限り契約の撤回はできません。死因贈与はあくまで契約なので、双方の合意によって成立している以上、相続の承認・放棄に関する規定は適用されません。贈与者が自分の意思を確実にしたい場合には大変有効な手立てといえます。ですが、何度でも書き直すことのできる遺言以上に死因贈与の契約は慎重になる必要があります。